!!!2009年03月の駄文 !2009年03月8日……組織が「脳死」になる時、なった後 先月の日記で書いた仕事ですが、結局全体的にズレ込んで週末にやっと当初の緊急至上命題(=私が急遽投入された原因)がとりあえず片付いた。 しかし、正直なところ「そんなものはどーでも良いものだった」というのが私の感想。 結局のところ、何が一番の問題だったのか? 「**のパーツができていない」とか「@@の課題が何日までだった」とか、そういう子葉末節の事ではなく、'''組織が脳死している事'''が一番の問題なのだ。 まず、増員の受け入れ態勢が全くできていない。 着任当日、そこの開発環境を整えるためのマニュアルが全然役に立たない。 間違っているとか、矛盾があるとかそういうことは無い、むしろきちんと一々図まで入った至れり尽くせりのマニュアルがあったのだが、それを全てきちんとこなしても開発環境が完成しないのだ。 「マニュアルの通り作業する」→「でも動かない」→「仕方ないので近くの人に聞く」→「いや、書いてはいないのですが実は%%もやらないとダメなんです」→「ではその%%はどこにあるのですか?」→「…どこなんでしょうね?とりあえず公式のファイルサーバには多分あると思うのですが見つからないので私のPCにあるものあげますね」 …と、こんな事を4〜5項目追加しないと結局マトモにならない。 見たところ、マニュアルができたのは3〜4ヶ月前。工数は恐らく1〜2週/人といったところか。 御丁寧に発注元に提出したらしき形跡や、改定履歴なんかもちゃんと付いているが、作られて査閲を通った後は誰もメンテナンスしていなかったという事だ。 プロジェクトに途中から入ったのだから、当然キャッチアップするべく今までの工程の資料を読むわけだが、'''これが全く役に立たない!!! これでもか!!!というほど役に立たない。''' 全てが「提出するための資料」「その場の内輪のやり取りの為の資料」「わかっている人たちがわかっている人たちの為に書いた資料」ばかりなのだ。 確かにドキュメントは沢山ある。それを見ただけでもプロジェクトの規模にウンザリするには十分だが、読んでも理解できない、いや、'''理解させようという意思がこれっぽっちも感じられない資料'''なんてまさにケツを拭く紙にもなりゃしない。 私は30分もしないうちにキャッチアップする事を諦めた。 で、与えられた課題はあるソースコードが間違っていない事を確認するためのプログラムを書くことだったのだが、普通の理性あるプログラマの頭なら「正当性を証明するには正当な動作の仕様を記述した資料が無くてはならない」のがまず始めに思いつくのだが、'''そんな資料は無い。''' 正確にはその資料自体は「存在する」のだが、例によって読んでも理解できない。 資料自体が共通化ツールに食わせるための特殊な記述のExcelファイルなので、それを読んだところで外部の人間様には全くわからない。 要はその共通化ツールに食わせるファイルを作る事自体が目的になってしまって、「仕様を理解できるように記述する」という本来の工程の目的が完全にどっかに飛んでしまっているのだ。 例えて言うなら、夏休みの宿題を「提出する事」が目的化してしまい、計算ドリルを終わらせるために電卓を使い、誰かに手伝わせ、何とか9/1に提出できたものの、「夏休みの宿題」に求められていた学習効果や習得目標が全く身に付かなかった。で、そのまま2学期に夏休みの宿題の学力を前提に授業が続いていくため、やっつけで夏休みの宿題を終わらせた者は2学期の内容が理解できず、毎週のテストを何とか赤点を取らないことのためだけに自転車操業続けていく……そんな状態だ。 話を戻してそのプロジェクトの中に戻ると、仕事の合間にファイルサーバの中を覗くと「管理のやりかけ」のExcelがどっさりと見つかる。 恐らくは客先から出された指摘事項に対する改善アクションとか、混乱した事態を収拾しようと試みた事や、品質向上の為のアクションのようだが、'''どれも見事なまでに継続していない'''のだ。 3日坊主…ではさすがにないが、1ヶ月も継続してアップデートされたり集計されていればマシな方か。 結局はこれらの尻切れトンボの残骸も「忙しいから」「期間が足りないから」「人が足りないから」という理由で押し流されて放置された「夏休みの宿題」なのだ。 これらはあくまでも内部的な資料だから提出する必要が無く、それだけに実を結ぶ機会すらなくまさに「流されていった」ものたちなのだろう。 それでいてシステム管理者が毎週のように「ネットワークドライブの空き容量が足りないので無駄なファイルを削除して下さい」と言って回っている。 ムチャを承知で暴言を吐かせていただくが、個人的にはそのネットワークドライブがある日丸ごとフォーマットされてもこれ以上状況は悪くならないのではないかと思う。 しかもこれが言っている自分にとってあながち間違っていないと思えてしまうから哀れに思えて仕方がない。 短期的なマイルストーンにだけ近視眼的残業と尻叩きだけを駆使して管理者もメンバーも完全に「脳死状態」のゾンビになっている、これはなるべくしてなった「人災」だ。 何のプロジェクトかを明かすわけにはいかないが、ある意味非常に重要な公共性の非常に高いプロジェクトにおいてこんな状態が展開されているのを私は恐ろしく思う。 まるで戦局の打開の為にゼロ戦に数十ものムチャな改造要求を突きつけて結局次世代機を開発できないでいた「悪い日本人のサガ」が今も息づいている様だ。 悲劇的な事に、このプロジェクトには原子爆弾は投下されない。 恐らく全メンバーを完膚なきまでに疲弊させ、モチベーションを奪い、「システム開発なんてこんなもんだんだ」と有望な人材をこの会社から離れさせていくだけの不毛な一億玉砕焦土戦術が納品のその日まで続けられて行く事だろう。 たとえ次期の予算が付いてこのシステムの今回の納期までに間に合わなかった機能とか品質とかに挽回のチャンスが与えられたとしても、結局は「何が悪かったのか」「どこに問題があったのか」が省みられる事も無く、「ああ、またこのデスマーチの延長戦が始まるのか」という絶望感に打ちのめされることはあれども「真の改善」が企画される事は無いだろうし、企画されたとしても正確に今までやってきた事を分析するだけの材料も残っていないだろう。 ああ、システムを作っている人間が自分たちのシステム化すらできていないというこの笑えない現実。これを悲劇と言わずして何を悲劇というのか。 深夜残業を続けられる事がエライのではない。 そうならないようにきちんと管理して問題を継続的に回避し続けられる事がエライのだ。 システム開発とかプログラマーを志した事がある人間なら一度は見た事のある「笑わないプログラマ 【軍曹が】携帯電話開発の現状【語る】」という2chに載っていたスレがあるが、あれは決して誇張された話でもなんでもない。 非常に身近にある悪しき現実なのだ。 (まとめサイトがドメイン落ちしているのが悲しい…。) *我々NW屋と同じような現実が、ここにもあるのですねぇ。いや、ほんと、笑えないってば。腹が立つのは、そんなドキュメントを時間をかけてまでも読まなくてはならないこと。結局、読まないことによって生じる瑕疵は、すべてこっちの責任にされますからね。公共と文教では、まだ文教のほうがマシかも?いや、ドキュメントのいい加減さからすれば、公共のほうがマシかも?うーん、究極の選択っぽい。 - 壱号 (2009年03月09日 23時42分40秒) {{comment}} ---- {{trackback}} [[新・Tsubasa's日記(駄文)]]に戻る