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FlightLog/2009-11-1

  Flight Log 2009年 11月 01日 - ロータックス・ファルケと強風


先週に引き続きグローブが1機お休み中なので、今日はちゃんと早起きして飛行場に行きました。

天気予報では時間が経つほど風が強くなるとの事で。
この時はあまりまだ気にしていなかったのですが…。

新鋭ハスキーがデビューするまで今の所グライダー曳航機のロータックス・ファルケが週末から手入れが終わって飛行場に戻ってきていました。
ロータックス・ファルケはファルケのモーターグライダーですが、エンジンがロータックスの強力エンジンの為、「モーターグライダーなのにグライダーを曳航する」という大利根ならではの光景を見ることができます。
他の滑空場を知る人たちは「あぶねーなぁ」と言いますが、これを見慣れてしまうと…別に何てことはありません。
(ASK13に重量級の人が2人乗っていたりするとさすがにツラそうだったりしますが…。)

「飛行廃人」ならぬ「廃神」として名高いH岡さんが今日は曳航パイロットをされると言う事で、曳航前の慣らし運転で乗せてもらうことができました!

ちょっとインカムの調子がイマイチでしたが、とりあえず発進。
RWY25から離陸しますが…、スロットルを開けた途端

アホですか!

って程短距離で離陸します。
フルストップ状態から目測で100mかかってません。
しかも足が離れてからの上昇率がすごい!
600mの滑走路端まで行く間に200ftぐらいに楽々達します。
なんなんですか、コレ。

神「すごいでしょ〜。物理法則を完全に越えてますよね。」
私「笑うしかないですねwwwww」

機上での会話。

別に普通のモーターグライダーなので物理法則を無視しているわけでもないし、上昇力はあるものの前方向の速度は普通のファルケと変わらないのでとってもゆっくりです。
しかし上昇率がおかしいwwww
まるで真上に持ち上げられている感じです。

1000ftに高度を取って沼の上でグルグルしてみますが、挙動自体は至って普通のファルケで牧歌的です。
スロットルなんて巡航状態では1/5ぐらいで足りてるし。
以前主任教官殿の言っているのを聞いた所では、飛行機の前方向のスピードは主翼の形で決まるので、エンジンを強力なものに積み替えても極端に水平方向の速度が速くなったりはしないんだそうです。

上空で少し触らせて頂きました。
「設計が古い機体だから操縦桿が少し重いでしょ?」とのお言葉でしたが、重いというよりは「利きがゆっくり」という感じですかね。
飛行自体はとっても安定していて上空にいても何かに乗っかっているかのように安定しています。
飛行機よりかは明らかにグライダー的な操縦感覚なのでグローブで訓練している私には「慣れてしまったらヤバい機体」なのは間違いないです。
ただ、ファルケ自体は低速な上にとっても操縦感覚が素直で安定しているので、モーターグライダーの訓練をファルケでやっている所も多いそうです。

その後飛行場に戻ってきてタッチアンドゴーかと思いきや、H岡さん、何を思ったか着地の後完全静止します。

「?」

と、思っていると、そこからフルスロットルで再離陸!!
それでも滑走路半分使っていませんwwww

神「元々ゆっくりな機体ですからこんな事もできちゃうんですね〜。すごいですね〜。」

なるほど。
しかしここまで短距離離着陸できてしまうと笑ってしまうしかありません。
マージンを無視すれば300mでタッチアンドゴーできてしまいます。
そりゃぁ、曳航索を落とすときに50ftぐらいで低速進入して滑走路端に索を落としてそのまま着陸できるんですから。

そんなわけでハスキーがデビューしたらどこかに行ってしまうと噂のロータックス・ファルケに乗ることができまして。
廃神様に感謝感謝ですm(_ _)m

話は前後しますが、練習機の始業前のランナップを大先輩T橋さんから仰せつかりました。
地上点検をして乗り込んで、チェックリスト通りにエンジン始動チェックリストを行います。
だいぶ寒くなってきたのでエンジンがかかりづらくなってるだろうな〜と思ったので、乗り込む前にプロペラを手で20回転以上しっかりと回しておいたのですが…、

かかりません。

3,4回セルを回してみたのですが、時々爆発らしき兆候はあったのですが、一向に回ってくれません。
ブレーカーが飛び出していないこと、スイッチ状態が正しい事、スロットルの開度、チョーク、燃料ポンプ等などもう一回確認してキーをひねってみたのですがやっぱりかかりません。

見るに見かねてT橋さんが様子を見にきました。

T橋さん「かからないねぇ。チョーク引いた?」
私「目いっぱいです。」
T橋さん「スロットルは?」
私「変えて何回か試したけどダメです。」
T橋さん「う〜ん、じゃあ、ちょっとスイッチ切って。」

T橋さんが手でペラを回します。
さすがにいきなり回り始めたら大事ですからマスターは切っておきます。

圧縮のあたり?でペラを少しガクガクしたりしながら回す事数回。

T橋さん「これでもう一回やってみて。」

今度はかかりました!!
さすがは東京に東京タワーと霞ヶ関ビルしか無い頃から飛んでおられた猛者です。
(何をやったのか聞きそびれた…)
ありがとうございますm(_ _)m

が、寒かったせいか、あんまりエンジンのご機嫌がよろしくありません。
時々エンジンが咳をします。
このあたりはラジコンのエンジンとおんなじだなぁ…。

10分程回しているうちに油温も上がって、回るようになったので無線のチェックをした後、エンジンを切って降りました。

私「T橋さん、ありがとうございました。」
T橋さん「調子悪かったね。」
私「回ってからも時々咳き込んでましたが、多分大丈夫だと思います。」

後で『あふたーもぐらそろ』を読み返してみたら、どうも燃料ポンプを一旦ONにしてからプロペラを手回ししていなかったから燃料が送られていなかった?
むむむ、今度はもうちょっと念入りに回しておいてみます。

私の前はホワイトボードに名前が2つ。
11時過ぎに私の訓練の番になりましたが、北風が段々強くなってまいりました。
220°、13kt、ガスト20kt超って所です。
一応RWY25に大体正対だったので「大丈夫でしょう」って事で。
地上でレグごとの偏流方向をシュミレートしてから乗り込みました。

エンジンをかけて滑走路端までタキシング。
ちょっと風が強いのでターニングパッドの上で一旦風上を向いてランナップします。

「大利根ローカル、JA2351、タインナップ、RWY25」
無線を入れてファイナルの機体がいないことを確認して、滑走路の上に出ます。
(アセって滑走路に出た所でテイクオフの無線を入れてしまった。)

軸線をあわせてパワーを入れます。
走り出してきちんと前に向かって安定して走り出したらフルパワーに入れます。
滑走路に対してやや左からの風。向かい風なので尾輪を早めに上げる…のを忘れてました。
尾輪を上げようとスティックを突っ込むといきなり頭を左に振られて、押さえ込もうと右を踏んだら思いっきり今度は右に取られて蛇行状態!
左翼も下がって地面スレスレ!!
正直「死ぬ〜!」と思いましたが、何とか離陸。
ふぅ〜。
波乱のスタートです。
足が離れてからもスピード感とスティックの感触が何かちぐはぐで上昇がゆっくり目?
スピードメーターを確認しつつ、風にもまれつつ何とか上昇。
結構時間がかかったように思えましたが、向かい風で対地速度がそれほど出ていなかったからか、何とか旋回点へ。

そういえばRWY25でタッチアンドゴーを本格的にするのは初めてなことを思い出して教官に申告。
経路自体はRWY07の反対なのでダウンウインドへはいつもの赤白鉄塔の横を目指して進みます。

風が息づいているのでそのたびに舵を取られて「ふのぉ〜」「うりゃぁ」と進路を保ちます。
ダウンウインドでプレ・ランディングチェックをして、地上の黄色い屋根の倉庫を目印に右に回ります。
(黄色い倉庫は意外と小さくてみづらいので、斜め前の野球グラウンドと、その横にある集落と集落の間を目安にすると大体良いかと。)

ファイナルターンで右旋回すると、左に流れる流れる。
つい滑走路に軸線を合わせるので精一杯になってしまってクラブ取るのが遅れたようです。
進路が左右定まらないので高度を見る暇も無くスピードを保つのが精一杯。
滑走路上に高すぎに入ってきても死にませんが、速度が無くなったら死んでしまいます。

川を越えてからやっと右に持ち替えてスポイラーを出さなくてはならない事を思い出す始末。
それでも高度がちゃんとコントロールできていなかったからなのか蛇行でロスったのか、何だか届かない風味…。
スポイラーアンロックのまま進入して、飛行場敷地に入ったぐらいでスポイラー全開。
ナントカカントカ滑走路に足をつけることができました(汗)

で、教官判断で、今日はコンディションが荒れていてまだ技量が追いついていないので、変なクセをつけないために訓練は中止…。
そのまま滑走路を出てスポットに戻りました。
(この時点ではまだ心臓バクバク状態なだけで何も考えられていませんでした…。ってか、教官も気が気じゃなかっただろうなぁ…orz)

クラブハウスに戻ってデブリーフィング。

教官「ま、荒れているときに余裕無く無理に飛んでも身に付かないし、飛行時間がもったいないからね。」
確かに…。

ただ、離陸にしても着陸にしてももうちょっと「考えられた」事があったんじゃないかなぁ…と反省しきり…。

  • 向かい風なのでもっと早めに尾輪を上げるべきだった。
  • 離陸滑走中も風上エルロンで姿勢を安定させるべきだった。
  • 離陸中進路を取られた時に右ラダーを離し過ぎてしまった。もっと早めに横風に対する対策を始めるべきだった。
  • ファイナルターンは風に流される事を見越してもうちょっと早く回るべきだった。
  • タッチアンドゴーが無理だったらエアワークに切り替えて、上空でスクエアしても良かったかも…。

などなど…orz

それから、横風離陸の上昇時の経路についても誤解していたようで、
「足が離れたら200ftまでは何があっても真っ直ぐ」というのを、「流されてもそのまま」と勘違いしていました。

正確には、横風で離陸したら機体は風上を向こうとするので、そのまま風上エルロンを緩めてラダーを踏んで、エルロンで機体を水平にして、滑走路に対して真っ直ぐにクラブの状態で上昇するのが正解のようです。
なるほど。

そんなわけで、今日の訓練は20分で終了。

飛行場宛に新鮮なサンマ50匹が送られてきたので、炭火を起こしてサンマを焼く事になりました。
風も段々と強風になってきてバーベキュー用品が飛ぶ飛ぶ〜。
おかげであんまり扇がなくても火がつきましたが。

サンマ自体は皆さん天候を見越して早めに昼食を済ませていてあまり消化がよろしくありませんでしたが、サンマの竜田揚げもしまして、多分自分で3〜4匹分ぐらいは食べたかなぁ〜と。
大変おいしゅうございましたm(_ _)m

クラブハウスでは隣のクラブに一時移籍(?!)してセスナの免許にも挑戦しているMRTさんと先程の廃神様が「セスナの機体のクセ」から「機体の違いによるクセの違い」などについて話しておられました。

「セスナはパワーを入れるとすごく機首が上がる癖があって、特にゴーアラウンドとかの時はすごく機首が上がっている人もいたりして危ないね〜」
とか、
「モーターグライダーに乗っていると、危なくなるととりあえずスティックを押して機速をつけることを考えちゃうけど、例えばヘリの場合、不安定になった時にはサイクリックを引くんですよ。そうするとローターに吊り上げられて機体が安定する。」
とか、
「機種とか機体によってイザというときの扱いが全然違うから、そのあたりはしっかり頭を切り替えて乗らないとね。」
との事で。
さすがはウルトラライトからビジネスジェットまで1万時間の神様ならではの体験です。

その廃神様に今日の教習中止の事を話すと、

「飛行機の操縦が『うまくなる』っていう事は、いろんなパラメータを『同時に』気を配れる事になる事なんですね。
例えば着陸の時の速度の保つのとかは全体の注意力の20%ぐらいで保てるようにならないとダメなんですね。」

なるほど…。
含みの多いお言葉でした。

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最終更新日時:最終更新時間:2009年11月07日 21時44分12秒
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