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毒入り-2000年6月22日の変更点

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!!!胃カメラを飲もう!【前編】

一昨日あたりからどうもお腹(特に腸の方^^;)の具合が悪く、「下り快速特急」がずっと続いていたので、「こりゃあいかん」と思って近所の診療所に行く事にした。

元々、私は「医者」というものをあんまり信用していない。
明らかに風邪引いて病院に行ったにもかかわらず「風邪ですね」って当たり前の事言われるのが気に入らないのである。そんな「お言葉」を伺いに行くぐらいなら家で寝ていた方が早く治るだろうと考えてしまうのは私がわがままだからだろうか?
まあ、病院でくれる薬は市販の薬よりもよく効くので、熱があまりにもひどい時とか、セキがでまくって苦しい時などは、本当に「薬をもらいに」行ったりもするが。

が、引っ越して間もないという事もあって、そこの診療所に行って「とりあえず」見てもらうことにした。
確か前評判ではそこのお医者様は「おじいさん」だという話だったが…。

会社に遅刻の電話を入れ、自転車で医者に向かった。正直な話、ちょっとお腹がゆるい以外は全然何ともなかったのだが、こんなに「緩みっぱなし」だと仕事の進捗具合や気合の入り方にも支障をきたしてしまうかもしれなかったので。それに「通院」なら合法的に朝寝坊の言い訳ができるし(おいおい)

で、待合室で老夫婦の「助け合い」を眺めつつ、自分の番を待った。やっぱり年をとると男の方が先に体が弱るらしい。トイレへの段差を昇りきれない80ぐらいのおじいさんのズボンの後ろを「グイ」と引っ張って昇らせてやる同じく80ぐらいのおばあさんを見ていると「どんなに好きな人と結婚しても、今の自分がああなったら『名誉の為に自殺させてくれ〜〜!!』と思ってしまうだろうな……」とか不謹慎な考えが浮かんでしまう。
老いを受け入れるにはきっと年数がかかるのだろう。

さて、自分の番になって診察室へ呼ばれる。
先生は以外に若いじゃないか。多分うちのオヤジと大して変わらんと思う。
で、お決まりの問答がはじまる。

先生 「どうしました?」
私  「ちょっとお腹がゆるいのが続いてて心配なので…」
先生 「はあ……何か暴飲暴食とか、変なもの食べました?」
私  「多分ないと思います(変なものって何じゃ??)」
先生 「じゃあちょっとそこに横になって……」

で、私はベッドに横になって「触診」。
突然「ベテラン」看護婦さんが出現して、ベルトとズボンのホックを鮮やかな手つきで外され、放送ギリギリ・ヘアヌードまでズボンとパンツをズリ下ろされてしまった。
さすがに「ベテラン」は恐れ入る。彼女の目には患者は「モノ」と化しているらしい。
(なお、あえて表現しないが、「ベテラン」と一目でわかるぐらいなので、年齢はご想像にお任せします^^;)

朝から「下り快速特急」が3度ばかり通過し、さらに朝食はヨーグルトだけで空腹感にヨレヨレになっている私のお腹を先生が容赦なくグイグイ押す。
まるでうどん屋のショーウィンドウの「手打ちうどん実演」みたいである。
もう出るものはないのだが、支えるものがないのがよくわかる。脂肪がそれほど無いせいもあって、何となく自分の腸を直に触られている気がする^^;
「コネコネコネコネ……」。不思議とくすぐったくはない。

先生 「ここは痛くない?」
私  「はい」
先生 「ここは?……う〜ん、そんなに硬くないなあ」
私  「はい。(「硬い」「柔らかい」って牛肉の目利きじゃないんだから…)」
先生 「こっちは?(ちょっと上の胃袋あたりを押す)」
私  「下よりはそっちの方が痛いですね。」

思えばこれがいけなかったのかもしれない。

先生 「(2秒ほど押しつづけた後で)……ここかな……」
私  「?」
先生 「どっちかというと腸よりも胃の方が悪いみたいですね。もういいですよ。」
(図星である。胃痛持ちだし、仕事&ストレス溜まってたし)

起き上がってズボンを上げている私に、先生は多分こう言うだろうと思ってた。

""先生 「風邪ですね。薬出しておきますので、治らなかったらまた来て下さい。」

が、思いがけない反応が返ってきた。

先生 「じゃあ、胃カメラ呑んで見ましょうか。(←凄く事務的抑揚の無い調子)」
私  「?!今ですか?!」
先生 「今はさすがに無理だから来週とか……。△△君(さっきの看護婦さん)、$#‘@*をXXXXmgに$%〜¥をYYYYmgね(多分薬の略語だと思う)」

と、早口で一般人には絶対わからない「業界用語」で何かを伝えた。
看護婦さんは横の方で何やら用意をしているらしい。ガサガサ音がする。

先生 「来週とかって空いてる日ありませんか?月・火・水・土……え〜っと、○○先生は胃カメラできたっけ?」
看護婦「外科の先生でしょ?う〜〜ん、確かできたと思いますけど……」

と、看護婦さんはエライぶっとい注射器を用意している。薬をいれる部分で大体単2乾電池2本分ぐらいの大きさがある。針は焼き鳥の串ぐらいの太さがある(あくまでも感覚上の話だが)
ちょっと背筋に寒いものが走る。「胃カメラ」と聞いた時点で十分寒いのだが…。

先生 「今日は薬と注射出しておきますので、またなにかあったら来て下さい。」
(と、その○○先生に電話をし始める。どうやら胃カメラができるかどうか確かめる為らしい。)

看護婦「じゃあ、注射しますのでもう一回そこに横になって下さい。」
私  「(って、「横になる」って、どこに注射するつもりなのだ?)」

やけに手馴れていると言うか、当たり前と言うか、先生と看護婦さんのコンビネーションがぴったり過ぎて「部外者」の私は何が起こるのか検討もつかない。

おまけに、「横になって下さい」って、どこに注射するのか?腕か?尻か?はたまた胃袋に直接注射するのか?!?!

私  「どこに注射するんですか?」
看護婦「腕ですよ。血管注射です。注射したこと今までにないんですか?」
(自慢じゃないが注射したことは一回もない。注射されたことなら何度となくあるが。(爆))

私  「ええ、まあ。それなりには。(……っかし、まあ、でかい注射だなあ。何を注射されるんだか……。まあ、尻や胃袋ではないのなら大丈夫だろう。)」

正直、今まで見たことない尋常じゃないサイズの注射器と針を見て「胃袋直接注射」という可能性が頭の中に広がっていただけに、一応の安堵感。
しかし、そんなに「量」が必要なほど私の体は蝕まれてるのか……?

注射自体は全然痛くない。そりゃあそうだ。小学生のガキじゃあるまいし。
ただ、量が量なので一気に「ブチュッ!」とピストンを押すわけにはいかないらしい。
じわりじわりと入ってるんだか入っていないんだかわからないぐらいに薬を注入していく。

先生はまだ電話で○○先生に胃カメラができるか確認しているらしい。どうやら見つかったらしい。

先生 「どうもどうも……○○先生、胃カメラの方は……あ、やった事ある。大丈夫ですか。来週はこちらにいらっしゃるんですよね?……」
(「やったことある」ってどういうこっちゃい?!私は「胃カメラ2号」じゃないだろうな。)

ちなみに、そこの病院はいわゆる「町医者」なのだが、何人もの先生が在籍していて、それなりの専門分野を担当しているらしい。

そんなたわいもない会話を注射をされながら聞いている私。ここからは見ることはできないが、ピストンは行程の半分ぐらいを進んだのだろうか?
頭の上には「胃カメラの諸注意」みたいな感じで、やけにフレンドリーなイラスト付きの説明ポスターが張ってある。どうやら「胃カメラ」というモノは私が思ったほど特別な事ではないらしい。
「前日は○時から物を食べないで下さい」とか「当日は車の運転をしないで下さい」とかそんな事が書いてある。

相変わらず針が刺さったままの私の腕は別に何ともない。3歳のときに1ヶ月点滴生活を送った時の経験が生きているのだろうか?


しかし、次の瞬間、こんな惨劇が待っていようとは誰が想像していたであろうか!!

それは突然にやってきた。

先生 「あ!!(ゴソゴソゴソゴソ)」

電話を耳から離して、目をしょぼしょぼしながら何かを探しているようだ。

先生 「キャッチ?キャッチなのか?これは?△△君(看護婦さん)、これキャッチってどうやって取るの?」
看護婦「え?そこの&%#@ボタンを押して、そうすれば繋がりますよ。」
先生 「ん?¥*+ボタン?」
看護婦「そうじゃなくて、****ボタンの上の所に&%#@ボタンがあるから、それですよ。」
先生 「早くしないと切れちゃうってば!!……。あ、これかな?(ポチッ)押したよ。」
看護婦「もう繋がってるんじゃないですか?」
先生 「あ、そんなみたいだ。もしもし?」

もちろんこの話の最中、注射針は私の腕に刺さったままである。ピストンは尚も進行中…。のはず。

先生 「もしもし……あ、どうもどうも。ちょっとお待ち下さい。……△△君!××さんからなんだけど、ちょっと出てくれる?」
看護婦「え?先生私まだ注射中なんですけど。^^;」
先生 「だって、××さんのことだから△△君しかわからないじゃん。」

と、なんと、先生は看護婦さんに無理やりコードレスの受話器を押し付けてしまった。
もちろんこの最中も注射針は私の腕に刺さったままである。
ピストンはゴールまであと1/3ぐらい……であって欲しい……。

看護婦「もしもし。あ〜どうも、すいませんね。え?あ?そうですか。どうもどうも。……。」
先生 「今、キャッチだからもう一回こっちからかけ直すって言っておいて早めに返してくれ。」
看護婦「……はいはい。今ちょっと先生がキャッチで話してるからまた後でこちらからかけ直しますんで。はい。はい。それでは…。(ピッ)」

この瞬間、私は見てはならないものを見てしまった。
それはコードレスの子機に添えられた看護婦さんの「両手」である。

……?!?! じゃあ、今私の手に刺さっているぶっとい注射器を支えているものは何!!!
もしや「刺さるがまま」?!?!

昔、「注射針が体の中に折れて残って云々」という新聞記事を読んだ記憶が頭の中に蘇った。
さすがに走馬灯は走ってしまわなかったが、「身動きしたら死んでしまうぞ!!」という死神のささやきが聞こえる。

看護婦「はい、先生。注射中なんですからね。電話なんか渡さないで下さいね。(って、そんなに怒っている風ではない)」

その間約2秒ぐらい。

看護婦「ごめんなさいね。うちの先生ったらいつまでたっても(電話の?)使い方わからないのよね。」
私  「……はあ……。」
看護婦「はい。終わりました。ここちょっと抑えていて下さいね。」

はっきり言って、いつ針を抜いたのかわからなかった。刺した時も全然痛くなかったし、結構ベテランなことは確かのようである。
しかし、無茶をしたせいかどうかはわからないが、注射器の針の側面には「針を伝って滴ってました!」と言わんばかりの血液がついていた……。
看護婦さんがバンソコウを取りに行った隙に腕の近辺を見まわしてみたが、特に異常はないようだ。大量出血の跡もない。
ひとまず安心。

はあ、そんな、「注射している間に電話に出るなんていう」ことが許されるのか?!?!
まあ、私的には「死ななくて、痛くなければOK」なので、問題無いが、神経質な人にこれやったら暴れるかもね。

できれば検査の当日に電話がかかってこない事を祈るのみである……。

(((続く)))